21世紀のCDはオーバーレベル

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説明

「21世紀のCDは録音レベルが高すぎる」という話をします。

きっかけ

Webmasterは2025年12月10日開催の『第25回1ビット研究会』でSACDについて解説した西尾文孝氏の発表を聞きました。 発表後、以前から気になったSACDの信号レベルについて質問しました。

『Super Audio CD Audio Signal Properties (Including Annex D&E) Version 1.3 March 2003』のAnnex Dに「SACDの0dBは、DSDの最大レベルの50%とする」と書かれています。 これについて質問した所、西尾氏の回答は次でした。 「SACDの規格を決めている時点で、CDのマスタリングに0dBを超えるデータを入れてクリッピングした最大データを入れる手法が流行っていたので、+6dBまで入れられるように規格を作った」

このとき話題に出た、CDのマスタリングについて調べてみます。

理論

CDにオーバーレベルの信号を入れる理屈は、図1で示せます。

図1 クリッピングするオーバーレベル信号

従来のCD信号は(a)でした。 0dBを超える信号は入れられません。

(b)のオーバーレベル録音CDから出てくる信号は、波の頂点がスパッと切り取られた0dB以下の信号になります。 この信号をローパスフィルターに通すと、0dBを超える振幅になるという仕組みです。

ローパスフィルターは、D/A変換前のデジタル信号でも、D/A変換後のアナログ信号でもかまいません。 ただし、ローパスフィルターの出力振幅が0dBを超える範囲まで取り扱えないといけません。

オーバーレベル録音の欠点

ローパスフィルターは、+6dBくらいまで扱えないといけません。

AD1856やTDA1545など、単純にD/A変換するだけのチップだと、その後に遮断特性の急峻なアナログローパスフィルターを実装する必要があります。 ローパスフィルターの特性が急峻でないと、オーバーレベル録音信号をうまく復元できません。

BurrBrownによくある内部でオーバーサンプリングして1bit変換するタイプだと、デジタルローパスフィルターのゲインを-6dBにしておく必要があります。 BurrBrownの内部処理詳細は公開されていないので、試しにデータを入れて実測するしか確認のしようがありません。

2026年現在の主流DAC LSIはESS社や旭化成社のチップだと思います。 現行チップは、オーバーレベル録音が流行してからの設計になるので、対応していることが期待できます。 測定データで確認したわけではありませんが、聴感上は気になりません。

PDM変調とディスクリートDACでの問題

Webmasteは新方式として、PDM方式と、ディスクリートDACを実装しました。 両方式ともCDのオーバーレベル録音を想定していません。 ローパスフィルターの特性がゆるすぎて、うまく再生できないと思われます。

Webmasteは再生アプリに手を入れて、再生時に8xオーバーサンプリングしてゲイン-6dBのローパスフィルターに通すことにしました。 今の所、これでちゃんと再生できています。

CD調査中

Webmasterは過去にCDを1000枚ほどリッピングしています。 リッピングしたデータを調査して、オーバーレベルのCDが何枚あるか、どのくらいクリッピングされているかを調査するアプリを作って、CDのデータを確認中です。

掲載日

2026年3月20日 初出


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