ΔΣ変調する時の注意点で、今までどこにも見かけなかった話です。 AmaneroPlayerから一般のDAC LSIにDoP出力するとノイズが乗る原因です。
「2次以上の高次ΔΣ変調器を使う場合は、入力レベルを-6dBに制限しないと出力にノイズが乗ります」という話です。 1次変調器ならば、0dB入力で大丈夫です。
この話は、経験則です。 理論化はできていません。 原因不明ですが、再現性100%です。
もともと、自作のPDMアンプで再生する時にノイズが乗ることがあり、再現条件を探していました。 1bit研究会のデモでΔΣ信号をOpアンプで直接D/A変換したときも、同様のノイズがありました。 1次ΔΣ変調器を使った時と、2次のΔΣ変調器に-6dBの信号を入れたときにはノイズが聴こえません。
さらに自作の再生アプリでS.M.S.L m100などの市販DAC LSIを搭載したDACにDoPを送ると、ノイズが乗ります。 m100のケースでは、5.6448MHzのDoPを送るとノイズが大きく、11.2896MHzのΔΣを送るとノイズが小さくなります。
ノイズの傾向は、音声が最大振幅になる時にジュルジュル聴こえます。 また、音声が-36dB付近になると、ショワショワと聴こえます。
以上より、2次以上のΔΣ変調器に-6dB以上のレベルの信号を送るとノイズになると結論しました。
S.M.S.L. m100で採用しているDAC LSIは旭化成のAK4452です。 データシートを見てみると、入力がPCMでもDSDでも3次ΔΣ変調器を通過しています。 どうもDSD入力の時レベルを-6dBしていないので、DoP再生でノイズが乗るようです。 これだと、SACDや市販DSD音源を再生していても、ノイズが乗るのではないでしょうか。
最近のオーディオマニアが「DSDは周波数11MHzでもまだノイズが多い」と言っているのも、これが原因かもしれません。
BurrBrownのDACについてもデータシートを見てみました。 ブロック図では、DSD入力もPCMと同じで8倍オーバーサンプリングブロックを通過しているように見えます。 このデータシートは、間違っているのではないでしょうか。 それともDSD入力を「PCMに変換」した後「ΔΣ変調」しているのかもしれません。 AmaneroPlayerとBurrBrownのDACを組み合わせた時、「ボリュームを下げるとノイズが減る」という報告があったので信じ難いけどそうかも
ノイズの主原因は、AK4452ではありませんでした。 疑ってごめんなさい。 Amenero向けにチューンしたアプリでDoPを送っていたのですが、AmaneroのDoPはBigEndianでm100のDoPはLittleEndianでした。 アプリを修正したらノイズは減りました。
この現象について、追試験できる環境にある人は少ないと思いますが、可能であればぜひ試してみてください。
特にDAC LSIを作っている旭化成の意見を聞きたいです。 具体的な根拠を上げてwebmasterに反論するなり、追試験するなり、webmasterをコンサルタントに迎えるなり、何らかのアクションを期待します。 まあ、次に発表するDAC LSIからこっそり直しているというのが、一番ありそうな結末ではありますが。
ESS社は秘密主義なので、聞くだけムダです。 案外、ESS社のDACの音が人気なのは、この辺に対策しているのが理由だったりして。
2020年6月11日 初出
2020年12月8日 追記