D級アンプに関する1考察

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D級アンプ

D級アンプの動作原理については、 いまさら説明するまでもないでしょう。 世の中に解説文書があふれています。

従来の増幅回路との比較

私は、最初にD級アンプのアイディアを聞いたとき懐疑的でした。 いままでさんざんディジタルオーディオを扱ってきて、 ディジタル回路からアナログ信号に入り込むノイズに悩まされていたからです。 おまけに自宅にあるΔΣ変調の D/A コンバーターを内蔵した CDプレーヤーの音が悪くて。 でも、電源効率が良いことはわかりやすいですし、 これからの時代は省エネが重要なのかなと思っていました。

私の好みは、A級増幅です。 自宅での再生出力は 10W 程度なので、 ミニコンポの B 級 AB級増幅でさえ私にはパワー過剰です。 A級増幅の歪が少ない音が、一番しっくりきますね。

ある日突然気がついたのですが、 D級アンプって従来のコンポを置き換える使用法では、 その性能を生かしきれないのですね。 以下、D級アンプに向いた使用方法を書きます。

D級アンプに向いた使用方法

簡単に言ってしまえば、 光ディジタル入力のパワードスピーカーを作って、 内部を完全ディジタル処理にしてしまえば良いのです。

入力が光ディジタルですから、 伝送系に神経を使う必要が無くなります。 モンスターケーブルを買って散財することもなくなるわけです。 増幅は完全にディジタルで行われますから、 再生系で非線形性を持つのは、PWM 変調以降だけになります。 線形特性と言う意味では、理想のオーディオに近付きました。

ディジタル回路のノイズ問題も低減です。 従来の方式では、D/A 変換した後でアナログによる増幅をしていましたから、 ディジタル回路が発生する微小なノイズも増幅していたことになります。 ところがD級増幅なら、 PWM 出力までディジタル系のノイズが増幅されることはありません。 最後で電源や輻射によるノイズが乗ったとしても、 S/N 比は大きくなることでしょう。

完全ディジタル化することで、 電源変動をどうフィードバックするかが問題になります。 ここは宿題ですね。

さらに、使い勝手も向上します。 「このスピーカーにつながっているケーブルは 左右どっちのチャンネルだったっけ?」 なんて悩むこともなくなります。 スピーカーまで光ディジタルで左右チャンネルの情報が来ているので、 前面の切替えスイッチで「左再生」「右再生」「モノラル」 を切替えれば良いのです。 スピーカーを対称に設計する必要は出てくるでしょうけど。 配置を変えたときは、スイッチの切替えを忘れないように。

光ケーブル接続も面倒だと言う人には、 無線LANや BlueTooth 接続も用意しちゃいましょう。 スタジオでは隣のブースと干渉しないか心配ですが、 最近の無線技術のパワーセービング機構に期待です。 アンプに温度センサーをつけて、 ミキシングコンソールに過熱の警告表示をフィードバックするのも親切です。

無線を使用するときは、 盗聴小僧にコピーされないように暗号化が必要になりますね。

ところで、CDDA 音質の D級アンプを作ると、 44.1kHz の 65,536倍で 2.9GHz のスイッチングをしなければなりませんね。 そんな高速なパワー FET なんてあるのかなぁ。 無いから誰も作らないのか。 波の位置を移動すれば、 デューティー比を変更せずにスイッチング速度を遅くできるかな。 送り出し側のクロックのずれを考慮すると、 PWM 周波数を PLL で制御しないといけないですね。 これも難しい点だな。

ボリュームコントロールも問題ですね。 高速スイッチングで 44.1kHz 16bit を実現しても、 音量を小さくするために、データにアッテネート率を積算したら、 結局振幅の分解能が上がらないわけだし。

もっとディジタル化

入力をディジタル化しちゃったんだから、 入力ソースもどんどんディジタル化しちゃいましょう。 たとえば、アナログラジオですが、 検波までアナログでやってから A/D を通して復調以降をディジタル化したらどうでしょう。

こんな製品はすでに存在するのか

インターネットを簡単に検索してみましたけど、 上に書いたような製品は見付けられませんでした。 光ディジタル入力のパワードアンプはいくつかありましたが、 アナログ入力も持っていて増幅方式を書いていないので、 一旦 D/A を通したアナログ信号を増幅する回路のようです。

私に暇と金があったら是非試作してみたいのですが、 余裕がありません。 メーカーさん作ってください。

2003年7月23日 初出

2004年7月2日 追記


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