純粋電流駆動アンプの回路を考えてみました。 実装と試験はしていないので、実際に作ると発振したり不具合が出るかも知れません。
図1が、目的の回路です。
最終段は電流出力なので、FETではなくバイポーラトランジスタを使用してSEPP回路にします。 出力電流0付近にギャップを作りたくないのでAB級駆動します。 全体に電流NFBがかかっているので、SEPPはコンプリメンタリなTrでなくても大丈夫でしょう。 出力電圧の辻褄合わせは、抵抗とTrで行うので、Trは大きく発熱しそうです。
OPA3とOPA4は電圧入力を電流出力に変換する同じ回路です。 最終段をAB級駆動するための入力電圧オフセットがかかっています。
電流引き込み用のTr2を負電圧入力のときに駆動するため、OPA2が電圧反転しています。
OPA1は入力とNFB電圧から、増幅段を駆動するOPアンプです。
OPA1とOPA2は、必ずGNDに対する正負電源が必要になりますが、それ以降を単一DC電源で駆動する回路に改造できそうですね。
OPA4の入力にかかるDCオフセットを、プルアップからプルダウンに変更しました。
図2は、電流出力のDAC LSIから電流駆動しています。
バイポーラトランジスタが入力電流に比例した電流を流しています。
ボリューム調節はどうしましょうか?
図3は、最終段をFETにしてみました。
LTSpiceでシミュレーションしてみました。
画像は縮小表示しています。 PNGファイルを手元にコピーしたら、拡大表示して細部も読めます。
1kHz入力と電流帰還電圧を重ねて表示していますが、ほとんど同じグラフです。
2つのFETが同時に動作するA級動作では、フィードバックループの遅延で発振していますが、発散はしません。 FETの型番は、LTSpiceの操作でリストのトップにあったNMOSを選択しています。 FETとOPアンプを変更すると、発振の具合も変化します。
こんど秋葉原に行った時に、部品を買って試作してみます。
回路は既に組み上げました。 期待通りに動作しないのでデバッグ中です。 デバッグに使うファンクションジェネレータがないので、プログラムとUSB DACで代用したり、オシロスコープの表示に使っていたパソコンが壊れたり、オシロスコープのプローブが大きすぎて回路にあてられなかったりするので、作業は進んでいません。 ハードウェア作業のあるあるですね。
図4は、単一電源でBTL駆動のFETにしてみました。 半導体メーカーが本気を出せば、ワンチップにできます。
モーターをPWM駆動するフルブリッジ回路を応用し、アナログ駆動します。 各FETを駆動する電圧は、図3の回路の応用で作れます。 R1とR2は電流測定用の抵抗です。 I3 = I1 - I2 です。
回路例1を実装するため、助っ人を頼みました。 トラ技のLV1.0でヘッドフォンアンプ回路を設計した川田章弘氏です。 Trの部品選定と、各所抵抗値の決定をお願いしました。 8月3日に引き受けてくださったので、そろそろ設計が終わっている頃でしょう。
読者から進捗をきかれました。 川田氏からは、連絡が途絶えました。
自分で回路例3を2回実装したのですが、音が出てきません。 FETのバイアス値の不整合を疑っているのですが、これ以上はオシロスコープが必要になります。 PDMアンプの試作を優先しているので、そちらが一段落したら戻ってきます。
2019年7月13日 初出
2023年3月20日 追記