アナログレコードを見直した

現在位置のナビ

トップコンピュータの国雑記帳オーディオ譚 → アナログレコードを見直した

説明

Webmasterは、20年以上前にアナログレコードプレーヤーを処分して以来、手元に残した少数の黒いレコードを聴けずに過ごしてきました。 ハードオフでジャンクのレコードプレーヤーを入手して聴いてみたら、思いの外音質が良くて感心しました。 レコードブームは、単なる懐古趣味ではなく実用的だったのだと思い直した次第です。

今のアナログレコードブームの原因になった、ディジタルオーディオの限界についても少し考えてみます。

ジャンクプレーヤーを治すまで(ここはマニア向けの話題)

近所のハードオフで、PioneerのPL-J2500をジャンク扱い税別1500円で売っていたので買いました。 専用のレコード針をAmazon.co.jpで買おうとするとプレミア価格になっているので、『PL-J2500もどうせA社のOEMだろう』と見当をつけATN-3600Lをヨドバシカメラで購入しました。 取り付けてみるとぴったり合いましたが、この手の博打行為は自分が失敗した時に他人に八つ当たりする性格の人にはお勧めできません。

購入した個体がジャンク扱いになった説明として「ノイズが乗ります」と書いてあって、自分でも確認できました。 ネットで調べてみると、「この手のプレーヤーのノイズ原因の多くが電源の電解コンデンサ容量抜けである」と書かれていたので、分解して電源回路の整流ダイオード隣の電解コンデンサにパラにMUSEの2200uFを入れてみました。 このコンデンサを選んだ理由は、単純に自分のジャンクボックスの中で余っていたからです。 コンデンサの追加でノイズは減りました。

さらに、ドーナツ盤をかける時のアダプタや、レコード針クリーナー、レコードクリーナーを揃えて準備完了です。

再生音にびっくり

PL-J2500にBit Trade One社の電流帰還アンプをつなぎ、Stereo誌2014年付録のFostex 2wayスピーカーを鳴らしてみて、その出音にびっくりしました。 高音の滑らかさは、現行ディジタルシステムを凌駕しています。 Webmasterの記憶から、40年前に実家にあったSansui AU-D607を中心とするシステムの出音を思い出してみましたが、今回のシステムは中高域で勝っています。

最近、アナログレコードがブームになっていることは知っていました。 昔『Princess Princess』も楽曲『Diamonds』で「♪針が降りる瞬間の胸の鼓動焼き付けろ」と歌っていたように、アナログレコードを再生する手順には一種の高揚感があります。 でも、PL-J2500でこの高音質が聴けるのであれば、高級プレーヤーを所有していて未だにディジタルシステムに移行できないオーディオマニアがいることに納得できるものでした。

もちろん、アナログレコード独特のノイズ「パチッ」や「シャリシャリ」は健在です。 これらのノイズは高域成分が多いので、ハイレゾシステムで聴くとアラが目立ちすぎるかもしれません。 ヘッドフォンではなくスピーカーで聴くとちょうどいい具合にノイズがマスクされて、聴きたい音だけ聞こえてきます。 ある意味、LPレコードのシステムはスピーカー前提の設計と言えるかもしれません。

録音中です

せっかくアナログレコードが再生できるようになったので、録音しています。 PL-J2500にCQ出版社のキットDAR-001TGを繋いで、Mac OS Xで5.6MHzのΔΣを録音しています。 録音の後で、自作のFIR(65535タップ)で44.1kHzfsの32bit浮動小数点型に変換し、Audacityでレベル変換してCDDAフォーマットのWAVにしています。 2.8GHzのCore2DuoでSSE命令を使っても、再生時間の3倍位かけないとFIR計算が終わりません。

特許申請した動作原理のディジタルアンプでWAVを再生すると、PL-J2500に電流帰還アンプを直結した時と同じくらいのHiFi音質で聴くことができます。

録音作業で発覚したDAR-001TGの問題

久しぶりにDAR-001TGを使ってみたら、いろいろ問題を見つけました。 列挙します。

  • トラ技に記事を連載した頃、LinuxのALSAの録音バッファ取り扱いにバグを見つけてパッチを作ったことがあります。 その後デバッグされたバイナリが配布されたのを確認しましたが、いつの間にか同様のバッファトラブルが起きるようになっています。 データが連続しないで欠けることがあるため、Linuxで録音するのを諦めました。
  • 入力アンプのゲインが低めです。 アナログレコードは、1枚毎に録音レベルが違います。 正確に言うと、最大振幅で溝の振れる幅がレコード毎に違うのです。 どのレコードを再生しても、DAR-001TGの出力するΔΣ信号がレベル低めです。 TiのADCチップのデータシートを見ると、載っている回路図は「ノイズ測定時の回路」と注意書きがあり、推奨回路ではありません。 そのせいでしょうか?

2018年7月8日追記 Linuxでのデータ欠けが解決しました

データが欠落する現象は、特定のマシンだけで起きていました。 再生時にもデータ欠落が起きていたので 対策したところ、録音も安定しました。

録音作業で発覚したPL-J2500の問題

PL-J2500にも、不満があります。

  • 1時間ほど使っていると、モーターからハムノイズが出ます
  • CBS SONYのSound Masterシリーズ『Airmail Special』をかけると、針がトレースしきれずに針飛びします。
  • 音のピッチが若干高めに聞こえるので、回転数がずれているかもしれません。
  • 分解した時に見た電子回路がとてもシンプルだったので、エンジニアの血が騒ぎます。
  • わずかなワウフラッターが聞こえる気がします。

一部は自分で解決できますが、コストパフォーマンスを考えるとより高価なプレーヤーを買ったほうが良さそうです。 特許事業が一段落したら、考えます。

現行ディジタル再生システムの限界

「D/A変換チップの内部処理のせいで、CDDAをHiFiなアナログ信号に変換することができていない」という仮説は、『第13回1bit研究会』で発表しました。

自分の特許を実装している時に、「現行フルディジタルアンプのブリッジ回路に問題があるのではないか?」と思うようになりました。 今年(2017年)八重洲で40万円のフルディジタルアンプ新製品の発表会を聴いた時、レコード再生時でも高域にノイズが聴こえてがっかりしたことがあります。 どこか、実験で確認出来るだけの予算を用意してくれないかなぁ?

初めて針を落としたドーナツ盤

すでにレコードプレーヤーを処分してしまった後で、購入したドーナツ盤です。 当時レコード店で見つけて、「これはCDにならないんじゃないか。今買わなかったら絶対後悔する。」と考えて購入しました。 今回初めて針を落として、30年ぶりくらいに聴いた楽曲です。 あの時買っておいてよかった。

2018年9月2日追記 LPのS/N比

画面は、TASCAM DR-07で44.1kHzfs 24bitキャプチャーしたLPデータ波形を、Audacityで表示したものです。 信号の最大振幅を約0dBに合わせてあります。

最初の3秒間は針が降りる前の状態で、-56dB位のノイズが出ています。

3秒付近に大きなパルスが出ているのは、針が降りたときのノイズです。

その後の数秒間は針が降りた無音のトラックで、-30dB位のノイズが出ています。

ちなみに、KORGのMR-1でもCQ出版社のDAR-001TGでも、無音トラックでは-30dBのノイズが出ていました。 数十年前に購入して、数十回針を落としたLP(日本コロムビア CX-7090)ですが、無音トラックの背景ノイズは-30dB付近だと言って良いでしょう。 この状態でも、ヘッドフォンアンプを直結して聴く限り、-30dB付近の背景ノイズは全く気になりません。 同じ楽曲をCDで聴き直した時に、「背景ノイズが減ったみたいだな」と気づく程度です。

Webmasterの耳は、この位アバウトです。

掲載日

2017年10月2日 初出

2019年5月11日 表記修正


back button オーディオ譚