一人オーディオメーカーその2の社長さんから聞いた話です。 「RaspberryPiではサンプリング周波数384kHzの音源を再生できない」という都市伝説があるそうです。 Webmasterは自分のRaspberry Piでサンプリング周波数384kHzの音源を再生しようと試したことはありません。 でも都市伝説の理由に心当たりがあるので、解説してみます。
USB DACの場合、384kHzサンプリングの音源を再生する時に、転送レートが高いためバッファのアンダーフロー/オーバーフローが発生しやすくなってノイズになる可能性があります。 原因はALSAのバグです。 USBオーディオのフロー制御 で解説したことが理由です。
解説先のパッチをカーネルソースコードにあてれば、解決します。 今の所webmasterはRaspberryPi向けのカーネルを公開する予定はありません。 スポンサーがついて工賃が保証されるのであれば、RaspberryPiのカーネルを変更することはできます。
I2Sの場合、RaspberryPiがI2Sマスターになる場合は、クロック源発振と分周比の関係で192kHzあたりが限界です。
RaspberryPiがI2Sスレーブになれば(すなわちDAC側からI2SのLRCK、BCLKが供給されれば)、384kHzfsでも再生できると思います。 未確認ですが。 もちろん、カーネルに組み込むデバイスドライバもI2Sスレーブモードで動作しなければなりません。
ネットを検索すると、I2S経由でRaspberryPiに接続するDACで、384kHz対応のものが売られていますね。
ESS社のDACには、I2Sクロックと非同期のマスタークロックを入力できるものがあります。 こちらを使っても、分周比の問題を避けられるかもしれません。
2021年4月5日 初出