PEHA-6010は、トランジスタ技術2014年6月号、7月号に掲載された記事と連動して設計されたヘッドフォンアンプで、CQ出版社から発売されています。 Webmasterは、2016年12月7日に早稲田大学で開催された『第14回1ビット研究会』において機材展示にPEHA-6010を利用し、試聴した方からノイズを指摘されました。 ノイズ原因を究明し、対策を打ったのでここに報告します。
PEHA-6010の出力にノイズが出ていました。 具体的な現象は、普通の音量で聴いていて曲がようやく聞き取れるレベルのpp(ピアニッシモ)になると、信号と同じくらいの音量の『キュルキュル』というノイズが聴こえました。 無音状態では出ずに、信号に連動しています。
調べてみたところPEHA-6010の回路の問題でした。 原因究明し、対策を打って改善しました。
トラ技2014年6月号より、該当アンプの電源回路図を引用します。
このアンプは006P電池の単独DC電源から、+4.5Vの中点電圧をOPアンプで作って仮想グラウンドにしています。 この仮想グラウンドが不安定で、ノイズ源になっていたようです。 回路から仮想グラウンドを作るOPアンプを取り除き、代わりに±5Vの電源を供給したところ安定しました。
電源改造の副作用として、ボリューム連動のスイッチを入れる前から電源ランプの青LEDが点灯します。 もともとの回路が006P電池を前提にしていて、電池の+線を切ることで電源を制御しています。 ±5V電源を供給すると、+5Vを切断してもGNDと-5Vが生きているので、LEDに電流が回りこむようです。 副作用の対策は、まだ打っていません。
Webmasterが持っているPEHA-6010は、大藤さん本人からいただいたものです。 2016年7月5日を最後に大藤さんに連絡がつきません。 この記事を見たどなたか、大藤さんに伝えていただけないでしょうか。
よろしくお願いします。
オーディオ・デザイン社を直接訪問してきました。 PEHA-6010は、高域ノイズが乗っていない信号の入力を想定しているので、-6dB/Octのフィルタを通したΔΣ信号で仮想GNDが不安定になるのは当たり前だそうです。
2016年12月15日 初出
2017年11月10日 追記