11.2MHz ⊿ΣADC作成プロジェクト

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説明

オーディオ録音用ADコンバーターシステムの作成プロジェクトです。

状況

2024年11月現在、何人かのオーディオファンから問い合わせをいただいています。 「11.2MHzの⊿Σを録音できるADコンバーターシステムがほしいけど、なんとかならないか?」というものです。 CQ出版社にも同様の問い合わせが来ているそうです。

あらためて市販のオーディオ録音機で11.2MHzの⊿Σを録音できる機種を探すと、KORGのNu 1とRME のADI-2 Proくらいしか見つかりません。 これは自作したほうが安くて早そうです。

WebmasterはCQ出版社の『エレキ工房No.5』のためにADコンバーターシステムを設計しました。 CQ出版社からキットも発売されていましたが、もう品切れです。 しかも、キットに使っていたマイコンボードが次々と故障します。

Webmasterはマイコンボードの予備をストックしておいたのですが、これも次々と動かなくなりました。

『エレキ工房No.5』のキットに代わるADコンバーターシステムが必要です。 某所からも「キット販売をサポートできるかもしれない」と声がけしていただいたので、2024年の11.2MHz ⊿Σ ADコンバーターシステムを設計してみます。

基礎設計

入出力インタフェース

ADC LSI から出てくる11.2MHzの⊿Σ信号は、2チャンネル分の信号線とクロックです。 この信号を何らかの方法で取り込んで、記録しなければなりません。

USBオーディオ

『エレキ工房No.5』のキットは、USBオーディオ入力としてADCの出力をパソコンに送りました。 2024年現在、ハイスピード480MbpsでUSBターゲットになれるUSBマイコンボードが売られていません。 部品市場としては、過去よりも後退してしまいました。

しかも、PCMと⊿Σ両方の入力を受け付けようとすると、専用のデバイスドライバを用意しなければなりません。 WindowsやMac OS向けにデバイスドライバを書くのも面倒ですし、さらに証明書を購入して署名しないとデバイスドライバをインストールできません。 そんな予算はないので、却下です。

さらに録音アプリを無料で配布しようとすると、Mac OSの場合はApple社のアプリストアで配布する権利として毎年99ドル払う必要があります。 その予算もありません。

ラズベリーパイ

ラズベリーパイのI2Sインタフェースから⊿Σを入力するのが現実的なようです。 ADC LSIの⊿Σ出力をI2Sに変換するハードウェアは、すでに2種類実装した経験があります。

ADC LSI

いま、市場で簡単に購入できるADC LSIで、11.2MHzの⊿Σに対応しているのは旭化成のAK5572くらいです。 『エレキ工房No.5』では、PCM4202をオーバークロックで使って11.2MHzを録音していましたが、もうこの手は使いたくありません。

AK5572のデータシートを入手してざっと読んでみたのですが、クロック周波数について44.1kHz系列の出力が書かれていません。 おそらくMCLKを22.5792MHzにすれば44.1kHz系列が出力できるのでしょうけど、不気味です。

現状報告

『お気楽オーディオ』の藤原氏からAK5572キットを購入しました。 48pin QFNパッケージのはんだ付けに頭を抱えています。

水晶発振器のEPSON SG8002のDIPパッケージがいつの間にかディスコンになっていますね。 水晶発振器の入手先を探さないといけません。 試作品には、昔の試作基板から発振器を抜いて使います。

Tang Nano 9kでトラブル

FPGAとしてTang Nano 9kを使おうとしているのですが、コンフィグレーションできません。 まず、書き込みに失敗します。

サンプルでさえ、内蔵フラッシュROMに書き込もうとするとエラーになります。 LinuxでもWindowsでもSRAMに書き込めてフラッシュROMに書き込めません。 openFPGALoaderも試しましたが、ダメでした。

複雑なコンフィグレーションは、SRAMに書き込めても正しく動作しません。 Tang Nano 1k と Tang Primer で動作したVerilog HDL なので、HDL自体には問題ないはずです。

Tang Nano 9k は3個購入したのですが、全部同じ症状です。

2024年10月末にGoWin IDE を配布しているGoWin semi社に報告済みです。

進捗状況の問い合わせは、ご遠慮ください。 言われなくてもコツコツやっているか、どこかでハマっています。 作業協力は歓迎します。 「自分の会社でキット化したい」という会社さんがあれば、今交渉中のところから乗り換えるかもしれません。

2024年11月6日追記

Tang Nano 9kに複雑なコンフィグレーションができなかった理由がわかりました。 開発ツールのGoWin IDEでVerilog HDLの解釈が変わっています。 古いバージョンで動作したHDLが新しいバージョンで動作しなくなっているので、Verilog HDL を書き直しました。 現状、SRAMで動作しています。 GoWin Programmerから内蔵Flash ROMに書き込めない状況は、変わりません。

Linux上の openFPGALoder v0.12.1 の -f オプションでFlash ROMに書き込めました。

2024年11月8日追記

GoWinから返答がきました。 最新版のProgrammerでTangNano9kに書き込みできないバグがあるそうです。 現在対応中なので、古いProgrammerを使ってほしいということでした。

今後の予定

キットが提供できるようになるとしても、早くて2025年後半になります。

ADCをラズベリーパイに接続するだけなら、作業は1ヶ月程度の見込みです。 でも、QFNパッケージのはんだ付けに失敗したり、FPGAが言うことをきかなかったりすると、1ヶ月では終わりません。

掲載日

2024年11月3日 初出

2024年11月8日 追記


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