インピーダンスについての説明をQuoraに書いたので、こちらにも転記しておきます。
インピーダンスとは、サイン波を受け取った定常状態の回路が示す挙動を簡単に計算するための定数置き換えです。
1960年代の音声増幅回路をイメージしてください。バイポーラトランジスタ、抵抗、コイル、コンデンサーからできています。この回路の増幅率を求めるとき、インピーダンス計算できると楽なのです。
まず、sin(ωt)の入力を受け取った回路を考えます。回路が定常状態にあると同じ周波数の出力が出てくるはずなので、出力電圧も出力電流もsin(ωt+θ)に比例すると想像できます。入力と出力で位相差があるからθを足します。また、増幅して振幅も大きくなっていることでしょう。すると入力振幅と出力振幅の比を定数で表現できます。『入出力比の長さを持って位相差θのベクトル』を使えば、入出力の比と位相差を同時に表現できます。
入力が2つ以上の波の合成だったら、それぞれの周波数に分解して出力波形を別々にベクトル計算し、後で重ね合わせることができます。波の重ね合わせの原理ですね。
入力と出力の比を2次元のベクトルで表すことができました。でも、長さと位相差でベクトルを表現するのは面倒です。そこでこの2次元を複素数平面として、ベクトルを複素数で表すことにします。回路の入出力比を複素数で表現したものがインピーダンスです。
このインピーダンスを使うと、部品一つ一つの複素数係数から回路全体の複素数係数を求めるとき、複数抵抗をつないだときの合成抵抗を求めるのと同じ計算式が使えます。抵抗R1とR2を直列にしたら合成抵抗は(R1+R2)です。インピーダンスI1とI2を直列にしたら合成インピーダンスは(I1+I2)です。並列にしたときの計算も同様です。
回路部品にコイルもコンデンサーもなくて、抵抗だけで出来ていれば、電圧と電流に位相差はありません。「インピーダンス=抵抗」となります。インピーダンスの虚数部分がゼロになります。コイルやコンデンサーは、回路中で電流と電圧に位相差を発生させる部品なので、虚数項がでてきます。このときは「インピーダンス=抵抗」とは言えません。
インピーダンス計算には限界もあります。定常状態を想定しているので、過渡応答を計算できません。入力と同じ周波数が出力されることを想定しています。出力に高調波がでてくるような回路を表現できません。あくまで、音声増幅回路を簡易的に計算する手法です。
厳密に計算したかったら、回路中の電流と電圧の関係を複数の方程式に書いて、微分方程式を解くことになります。大学数学の範囲でなら解けますが、インピーダンス計算のほうがずっと簡単です。